歯周病予防が健康な心臓につながる
歯を磨き、デンタルフロスを使い、定期的に歯科検診を受けることが、心血管系の健康維持によいという証拠が多く出てきている。
歯茎の疾患など慢性感染症がある場合、アテローム性動脈硬化症や冠動脈疾患のリスクが高いという。米国心臓協会(AHA)のスポークスマンRichard Stein博士は、心臓発作や脳卒中のリスクを心配する患者には、予防戦略として運動や健康的な食生活、適切な投薬治療に加え、歯周病の治療を取り入れるように忠告している。口腔内細菌により生じる慢性歯周病が炎症過程を引き起こし、炎症過程はコレステロールに富んだプラークの動脈壁への蓄積を促進するという。
米国歯科医師会(ADA)のRonald Inge博士によると、口腔内の慢性感染症も、体の他の部分の慢性感染症と同じく反応系にストレスを与える。ストレスへの反応として血流中にさまざまな分子が送り込まれ、これら分子がプラークを作成すると説明する。
専門家らの間では歯周と心血管系との関係は過去10年間知られており、この問題は拡大しつつある。フッ素のおかげで虫歯が減り、寿命も延び、歯周病が歯を失う主な原因となってきたためだという。
歯茎に細菌が腰を落ち着けるのを防ぐ方法として、Inge博士は下記の助言をしている:
・検診を受ける――徹底的な口腔検査で、歯科医は歯周病を診断、その重症度がわかり、適切に治療できる。治療には、歯石除去や根面平滑化による細菌除去、抗生物質の投与がある。
・定期的に歯を磨き、デンタルフロスで歯間を掃除する――より頻繁に食物を歯から除去するほどよい。定期的な歯のクリーニングは、口腔内細菌が必要とする栄養分を奪う。
・間食しない――間食のたびに細菌に新鮮な食べ物を運んでやることになる。どうしても間食するなら、粘着性が低く、歯にくっつきにくいものにする。
歯茎に感染を生じるには歯が必要で、総入れ歯の人はこの問題を気にしなくてもよいという。しかし多くの人が歯を保ち、なおかつ心臓や動脈も健康に保ちたいと願っており、口腔の健康状態を保つことが、両方の目的を達するという。Stein博士は「歯の手入れも、健康と生活の質の一部で、これが心臓を守ることにもなる」と述べている。