喫煙は男性の繁殖力を低下させる
喫煙は男性の繁殖力を低下させ、吸えば吸うほど、精子が卵子に結びつく能力が減衰するという研究結果が、カナダ、モントリオールで開催された米国生殖医学協会(ASRM)年次集会で発表された。
この研究は、米バッファロー大学医学部(ニューヨーク州)のLani Burkman博士らが、1日少なくとも4本のたばこを2年以上吸っている男性18人の精子を調べたもの。卵子の透明帯に精子が結合する能力を調べるヘミゾナアッセイ(HZA)というBurkman博士自身が過去に開発した試験法を用いて、精子機能を非喫煙者と比較した。その結果、喫煙者のほぼ3分の2の精子は試験に不合格。生殖能力が全くないわけではないが機能は著しく低かった。
Burkman博士は「たばこは体内に自然にある化学物質アセチルコリンの作用に似るため、体に変化を及ぼす。喫煙者の多くは対照群に比べて25%の結合力しなかった」と述べている。喫煙数が多い程、精子の結合力は弱まる。
喫煙は女性の受精能力(妊よう性)にも影響するという。「男性も女性も、生殖機能を正常に近づけるため、喫煙習慣について真剣に考えるべき」で、Burkman博士自身、もし自分が男性で子供を望んでいたら、禁煙グループに参加するという。精子の能力が変化するには、禁煙してから少なくとも2か月半かかる。
ニューヨーク大学医学センターのJamie Grifo博士も「喫煙者で子供がいない場合、チャンスをものにする努力をしていないことになる。禁煙したほうがいい」と助言し、さらに「これは喫煙が体に与えるマイナス影響の一つにすぎず、喫煙すべきでない理由は他にもたくさんある」と加えている。