食物アレルギーが公共上の大きな問題に
食物アレルギーは、依然として公衆衛生上の重要な問題であり、米国では3月5日を「ナショナル・アナフィラキシー・デー」と指定するまでになった。食物に対する生体の過敏な異常反応であるアナフィラキシーは、死につながる可能性がある。
先ごろマイアミで開催された米国アレルギー・喘息・免疫学会AAAAI)で、会長のF. Estelle Simons博士は「アナフィラキシー・デーの指定で、医療従事者を含めより多くの人々の意識が高まり、兆候や症状を理解するようになる」と述べた。同学会では、この問題を異なる切り口で検討した多くの研究結果が発表された。
米ハーバード大学医学部(マサチューセッツ州)の研究では、アナフィラキシーで緊急治療室を訪れる患者数は、従来の報告よりも多い104万人に及ぶとし、また、アレルギー反応の標準解毒薬であるエピネフリンの使用が不十分と指摘した。同大医学・疫学準教授のCarlos Carmago博士は「エピネフリンを早期に使用しなければ、アレルギー反応が進行し、薬効が得られなくなる」と述べている。
米マウント・サイナイ医科大学(ニューヨーク州)は、食物アレルギー・アナフィラキシー・ネットワーク(FAAN)の参加家族を対象に検討を行い、最も重症度の高い患者の34%が十分な治療を受けていないことを明らかにした。研究著者のElinor Simons博士は「医師と家族は、患者を常にエピネフリンの使用が可能な状況におき、その使用ができるよう教育を受けるべきである」と述べている。
英サウサンプトン大学の研究では、カルボキシペプチターゼ(肥満細胞に関与する酵素)値が、アナフィラキシー反応者では非反応者に比べ高いことを明らかにした。研究著者のAndrew Walls氏は「カルボキシペプチターゼの定量法を開発し、アナフィラキシー症例200例で検討した結果、血中濃度が増加していることを確認した。この定量法は、アナフィラキシーの診断法を確立するための新しい有効な検査になるだろう」と述べている。