マグネシウムでメタボリックシンドロームのリスク低下
糖尿病や冠動脈疾患につながるメタボリックシンドロームの罹患率低下に、マグネシウムの豊富な食品が役立つことが最新の研究により判明した。米医学誌「Circulation」3月28日号に掲載された報告によると、米国人約4,600人を対象として1985年に開始された研究で、マグネシウム摂取量の多い人はその後の15年間のメタボリックシンドローム発症リスクが31%低いことが明らかになったという。
メタボリックシンドロームの症状には、高血圧、高血糖、高脂血症のほか、「善玉」であるHDLコレステロールの低下などが含まれる。このうち3つ以上が認められると、心血管疾患および糖尿病のリスクが増大する。マグネシウムとメタボリックシンドロームの関係を示す研究は初めてではないが、米ノースウェスタン大学(イリノイ州)医学部助教授Ka He博士によると、今回の研究では新たに「マグネシウムを多く摂取することで、メタボリックシンドロームの個々の症状のリスクが低下する」ことがわかったという。
マグネシウムが含まれる食品には、オヒョウ、炒りアーモンド、カシューナッツ、ホウレンソウ、全粒シリアル、アボカド、バナナおよびレーズンなどがある。被験者のうち約16%は、マグネシウムの栄養補助食品(サプリメント)を利用しており、サプリメントの有効性も示された。
今回の研究の特色は、開始時点で20歳代という若年者を主に対象としている点。若い人は寿命を延ばすことには無関心だが、この結果から、若い人も健康的な食生活に関心をもつべきであることがわかるとHe氏は述べている。
米国医学研究所(IOM)は、19〜30歳の男性で1日400mg、女性で310mgのマグネシウム摂取を推奨している。しかし、心臓の健康のためにマグネシウムが果たす役割はごく一部にすぎないという。一般にいわれるように、禁煙や運動、野菜や果物を多く摂り、脂肪の多い食品を控えることも不可欠である。