低塩ダイエットは心臓病リスクを高める?
塩分摂取が少ないと心臓病リスクが高まるという報告が米国心臓協会(AHA)主催の心血管疾患疫学・予防会議で行われた。心臓病予防には1日の塩分摂取量を制限すべきという長年の定説を覆すもので、「ナトリウム摂取量1日2,400mg(ほぼ小さじ1杯の食塩)未満」を推奨する米国食品医薬品局(FDA)とAHAの方針に真っ向から反する。
米アルバートアインシュタイン医科大学(ニューヨーク)疫学集団衛生学助教授のHillel W. Cohen博士らが、男女7,278人について13年以上にわたって心臓病および他の原因による死亡数を調査したところ、1日の塩分摂取量が2,400mg以下では心臓病のリスクが50%以上高く、塩分摂取が減るにつれ死亡率が上がり、1,000mg減少につき心血管系の原因による死亡が1%上昇するという結果が得られた。塩分摂取2,400mg未満では、心血管疾患、他の原因どちらでも死亡率が高いという。
Cohen博士は、この結果は推奨されている低塩策を支持せず、生物学的見地からは、腎臓が十分に機能していれば普通量のナトリウム摂取は問題を生じず、ある人は高塩分濃度に耐性を持つが他の人は持たないというような個人差があると説明している。
米エール大学(コネチカット州)医学部予防研究センターのDavid L. Katz博士は,この結果は降圧薬の効果を反映しただけと反論する。低塩分摂取での高い死亡率についても、「塩分摂取を減らすように努力したのは最も病気の重い人たちで、最も病気の重い人の死亡率が高くても驚くには値しない」と逆の見方が正しいと述べる。
Cohen博士は,塩分摂取量のガイドライン作成者は過去のデータを見直し、新たなデータも考慮すべきだと言うが、Katz博士は、新しい研究が発表される度にこういった勧告を変えるべきではないと述べ、博士自身は塩分摂取に気をつけているし、他の人もそうするよう助言している。