加工肉と赤身肉の多量摂取が膵癌リスクを高める
ホットドッグやソーセージなどの加工肉のほか、牛肉や豚肉の赤身を多量に摂取すると膵癌リスクが増大することが、先ごろアナハイムで開かれた米国癌学会(AACR)で報告された。膵癌の原因は、食肉の脂質ないしコレステロール量によるものではなく、その加工方法に関係するという。
膵癌は特に進行性の高い癌であり、米国癌協会(ACS)によれば、米国での癌の死因において男性では第4位、女性では第5位を占めている。しかし、米ジョンズ・ホプキンス大学医学部腫瘍学、泌尿器科学、薬学および分子科学教授のWilliam Nelson博士は、世界のその他の地域では膵癌は比較的頻度の低い癌であることから、米国人の環境に膵癌リスクを高めるものが存在することが示唆されるという。
ハワイ大学癌研究センターのUte Nothlings氏らは、今回の研究でハワイあるいはロサンゼルス在住の白人、ハワイ原住民、日系など5つの民族グループに属する男女計約20万例を対象として、食事と膵癌発生率との関係を検討した。その結果、平均7年間の追跡期間に膵癌が発生したのは482例であった。加工肉の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループよりも膵癌リスクが67%高く、また赤身の豚肉および牛肉の摂取量が多いグループは約50%高かった。鶏肉、魚肉、乳製品および卵の摂取量のほか、脂肪ないしコレステロールの総摂取量と膵癌リスクとの間には何ら関係は認められなかった。
このことから、食肉の加工過程で生じる何らかの化学反応が癌発生を招く可能性が示唆された。化学反応によって、ヘテロサイクリックアミンまたは多環芳香族炭水化物などの発癌物質が発生する可能性があるという。Nelson博士はさらに研究を進める必要があるとしたうえで、この試験結果は「焼いたり蒸したりする安全な方法で調理した魚肉や鶏肉を摂取することが、妥当な選択として勧められるものである」と述べている。