マンモグラフィーに匹敵する新しい乳癌(がん)画像診断法
マンモグラフィー(乳房X線撮影)に匹敵する新しい乳癌(がん)画像診断法の中間報告が、シカゴで開催の北米放射線学会(RSNA)年次集会で発表された。この診断法は、円錐ビーム(コーン状ビーム)乳房CT(CBBCT)スキャンと呼ばれるもので、まだ予備試験段階だが、マンモグラフィーに匹敵または勝るものと期待されている。
米国癌協会(ACS)によると、米国では200万人以上が乳癌の治療を受けている。現在、乳癌検査にはマンモグラフィーが標準的に用いられているが、乳房組織の密度が高いと画像に写り込んでしまうという欠点があり、見たい部分の上下に組織の密集した部分があると視界が遮られてしまう。今回のCBBCTスキャナーは、乳房をさまざまな角度から撮影し、これを合わせて1つの3D画像にするというもので、米国立癌研究所(NCI)ほかの資金援助により、米ロチェスター大学(ニューヨーク州)の教授が開発したもの。同大学とのライセンス契約により、Koning Corporation社(ニューヨーク州)が装置の製造、使用および販売を行う。
今回の予備試験では、マンモグラフィーで異常がなかった20人にCBBCTスキャナー検査をしたほか、身体所見で異常がみられたかマンモグラフィーで疑わしい結果だった人についても検査した。その結果、マンモグラフィーに匹敵する画像が得られたという。また、このシステムでは乳房を締め付ける必要がなく、快適さの面でも優れている。検査時は台の上にうつ伏せになり、台の穴の開いた部分から片方ずつ乳房を垂らした状態で、約10秒間に300枚の画像を撮影する。放射線量はマンモグラフィーと同程度で、マンモグラフィーとは異なり、肋骨周辺や腋下(えきか=脇の下)付近の組織まで鮮明に示すことができるという。
予備試験は60人に達するまで行い、2007年には大規模試験を行う予定だという。KoningCorporatio社は、FDAの承認が得られ次第このスキャナーの市販を開始する意向だというが、将来的にはこのほかにもさまざまな技術が登場すると考えられている。今回の集会で発表された別の研究では、新しい超音波技術により、乳房の悪性病変と良性病変とを正確に見分けられることがわかった。