症状の自覚、周囲の人の勧めが迅速な脳卒中治療につながる
脳卒中が発症した場合、患者本人の症状に対する重大性や重症度の認識と、これに加えて家族や友人の強い勧めが、いかに迅速に救命救急を求めることができるかの鍵となることが、米国心臓協会(AHA)発行の「Stroke」3月23日号オンライン版掲載の研究報告で明らかにされた。
虚血性脳卒中には迅速な対応が重要で、発症後3時間以内に病院に搬送され治療を受ければ、血流再開のための血栓溶解薬投与により、脳障害が軽減される可能性が高い。
脳卒中患者209人を対象に行ったイスラエルの研究では下記の点が明らかになった:
・救急車を要請した患者は、治療の遅れによるリスクを75%近く軽減できた。
・自分の症状を「重症」と認識した患者は、認識しなかった患者に比較して治療遅れを60%軽減できた。
・脳卒中の症状を突然来した患者は、意外にも治療を求める時間が遅れる可能性が高い。
・症状は抑えられると考えた女性患者では、治療遅れのリスクが5倍以上である
・他者が脳卒中症状の深刻さに気づき、治療するよう説得した場合は治療遅れのリスクが80%以上軽減する
研究著者でイスラエル、シバ医療センター(Tel Hashomer)のLori Mandelzweig博士は、今回の知見は、脳卒中の徴候の認識や対応について一般の人を教育する必要性を示すものだと述べている。