非常に若い年齢でアルコール症の遺伝因子が発現
小児の飲酒パターンを観察中の研究で、12歳ですでにアルコール症へ導く遺伝子の影響が認められることが、医学誌「Journal of Studies on Alcohol」7月号掲載の研究で明らかになった。米カルフォルニア大学サンディエゴ校精神医学教授のMarc Schuckit博士らの研究によるもので、先ごろニューヨーク市で開かれた米国医師会主催のアルコール依存症に関する特別記者会見でも発表された。
この研究は、アルコール症の根本的な原因に焦点を当てたもの。現在、アルコール症の原因は、遺伝的因子が60%を占め、10歳代および20歳代の飲酒歴など環境的因子が40%を占めると推計されている。
Schuckit博士らは、英国で進行中の研究データから、12歳および13歳の小児1,000例以上の飲酒歴を評価した。その結果、80例(男児が3分の2)が過去6カ月に平均5回の飲酒歴があった。同博士は「子供たちは味を楽しむのではなく、“飲酒効果”を得るために飲む。(12歳児の)飲酒反応レベル(効果を得るために必要な飲酒量)と最大飲酒量との間に相関関係を認めた」という。
この遺伝子が管理するアルコール反応は、飲酒頻度や研究者がアルコール関連障害への「傾向(トレンド)」と呼ぶものとも関連性をもっていた。Schuckit博士は、酔うためにさらに飲酒を促す遺伝子がアルコール乱用の原因となるのではなく、そのリスクを高めることを強調している。
米国アルコール乱用・アルコール症研究所(NIAAA)治療・再生研究部部長のMark Willenbring博士は「血中アルコール濃度が高い状態が続くと、感情および自発性を制御する脳領域に変化を来す」とし、ジョージ・ワシントン大学医療センターのEric Goplerud博士は、アルコール症の検出率および診断率が未だその他の疾患を下回っている点を指摘している。