バストの左右差が大きいと乳癌(がん)リスクが高い
女性の乳房は非対称的なのが普通で、左右の大きさが全く同じという女性はほとんどいない。しかし今回、乳房の左右差が大きいほど乳癌(がん)発症のリスクが高いことを示す研究結果が、医学誌「Breast Cancer Research」第2号に掲載された。
英リバプール大学保健科学部のDiane Scutt博士らは、検査時に乳腺疾患が認められなかったが後に乳癌を発症した女性252例の乳房の左右差を算出し、年齢の近い健康な女性252例のデータと比較した。この結果、乳癌を発症した女性では、対照群よりも左右差が大きいことがわかった。乳房容積の左右差100mlごとに、乳癌発症率に50%の増大が認められたという。
乳房の左右差によりリスクが高くなる理由は不明だが、左右差の少ない女性は、思春期に乳房が急速に発達する際に生じる「破壊的な」ホルモン増減に対し、高い耐性をもつことが考えられる。乳房組織のエストロゲン(女性ホルモン)への曝露は癌の危険因子(リスクファクター)の一つであることがわかっており、乳房の成長にエストロゲンが重要な役割を果たすこともよく知られている。
米St. Luke’s-Roosevelt総合乳腺センター(ニューヨーク)のPaul Ian Tartter博士は、100mlというのは大さじ約7杯分で、この程度の差は乳房の大きさによっては気付かないこともあると指摘。また、乳房が大きいほどエストロゲンへの曝露が多く、乳癌リスクが高いという予測に反している点など、この研究については疑問も多いという。
Tartter氏は、将来の研究で同じ結果が出ない限り、女性たちが不安になる必要はなく、また、仮にリスクの存在が明らかになったとしても、「(乳房の左右差の大きい)女性に何かできることがあるわけでもない」と述べている。