脚を伸ばす最新技術
四肢の長さのばらつきや先天的な四肢変形があると、重大な健康上の問題につながることがあるが、最新の技法でこれを防ぐことができる。シカゴで開催された米国整形外科医学会(AAOS)年次集会で、四肢の延長や変形矯正技術の最近の進歩が紹介された。
米Alfred I. duPont小児病院(デラウェア州)整形外科主任William G. Mackenzie博士によると、「四肢の延長および再建の基本的な方法は世界中でほぼ同じ」だという。両脚の長さに差が生じるのは、外傷、神経的な原因、骨感染症ないし骨疾患、先天的原因などによる。1.5cm以下の小さな差はよくみられるが、2cm以上の差があると、背中、腰、膝への負担が大きくなる。
治療法の1つに、骨固定法がある。創外固定器と呼ばれる器具を脚の外側にピンやワイヤで装着した後、周囲の組織を傷つけない「非外傷的方法」で骨を分割する。骨が延長するにつれ、新しい骨組織がすき間を埋めていく。さらに新しい方法では、創外固定器のほかに金属棒を骨に挿入する。この方法は固定器をはずした後の屈曲および骨折のリスクが少ないが、松葉杖や歩行器の必要な期間が長く、重篤な骨感染症のリスクもあるという。
このほか伸縮性の「釘」を骨に挿入し、徐々に骨を延長させる方法もある。釘による骨延長作用は脚を動かすことによって活性化され、創外固定器は不要である。さらに、現在開発されている方法に、骨表面に伸縮性のプレートを装着した後、小型のレンチを用いて皮膚切開部から頻繁に調整することにより、徐々に骨を延長させるというものがある。