セロトニンの活性が鈍ると不健康な生活を選択
脳内のニューロン(神経細胞)間でメッセージを伝達する化学物質で、気分、食欲、血圧をコントロールする上で重要な物質であるセロトニンの活性が不活発だと、アテローム性動脈硬化症のリスクファクター(危険因子)である喫煙、不健康な食事、運動不足な生活を選ぶ可能性のあることが、米ピッツバーグ大学(ペンシルバニア州)の研究で明らかになった。
デンバーで開催された米国精神身体医学会(APS)で報告された研究では、30〜55歳の224人を対象に、セロトニン活性を薬理学的アプローチで、頸動脈壁の厚さを超音波検査法で測定した。研究開始時には、被験者では臨床的に顕在化した血管障害は認められなかった。その結果、セロトニンの活性が低い人では、高い人より頸動脈の肥厚傾向が強いことが明らかになった。
セロトニン系とアテローム性動脈硬化症を関連付けた研究は、今回が初めであるが、同研究チームは、これまで過体重、高血圧、高血糖、高コレステロールの人はセロトニン活性が低いことを明らかにしている。
同大医学部準教授のMatthew F. Muldoon博士は「今後の研究で、心疾患や脳卒中のリスクファクターをセロトニン系でコントロールが可能になれば、心疾患や脳卒中の予防に新しい道筋ができる」と述べている。