「自然の治癒力を高める大自然の力−温泉のススメ−」
温もりが恋しい季節ですね。昔から湯治といって、温泉の恵みに癒されてきた日本人。温泉を楽しむ知恵も世界一かもしれません。今回は、そんな温泉の自然の力についてお話しましょう
大地からこんこんと湧き出る大自然の贈りもの
地底深くから、気が遠くなるような長い時間を経て地表に湧き出てくる温泉には、地球のパワーがたっぷりと秘められています。超高温、超高圧の地底から生まれた温泉には、地上の条件では考えられないほど多量の自然の化学物質が含まれており、それが不思議な力の元になっているのです。この成分が皮膚を通して体に吸収され、温泉の泉質によって、さまざまな薬理的作用となって表れるわけですね。 たとえば「炭酸泉」は血行をよくしてくれますし、「重曹泉」は肌をなめらかにする美人の湯。「食塩泉」は肌に付いた塩分が汗の蒸発を防ぐため、いつまでもポカポカと温まります。また、湯気を呼吸したり、源泉を直接飲むことによって、温泉浴の効力は高まります。まさに大自然の恵みですね。
温泉浴には他にも、静水圧、浮力、温熱効果という物理作用があります
静水圧…
お湯の中では体に水圧がかかります。ウエストで約3cm細くなるといいますから、水の力って凄いですね。この水圧で内蔵が圧迫されて横隔膜が押し上げられ、呼吸回数が増加します。また、足に溜まった血液やリンパ液も水圧で心臓に押し戻され、心臓の働きが活発になります。お湯から上がると水圧がなくなりますから、その反動で血液が体の隅々まで流れて血行がよくなり、体がじわじわ温まるというわけです。これがマッサージ効果です。しかし、心肺機能が弱っていたり高血圧の方などは、入浴前に湯かぶりして入浴するようにします。半身浴もおすすめです。半身浴なら、心肺機能に負担をかけずに、むくんだ足のマッサージにもなります。
浮力…
水に体が浸かると軽くなりますね。これが浮力です。水の中では体重はおよそ9分の1から10分の1も軽くなるといいます。軽くなった分だけ関節への負担なども軽減しますから、関節痛などで普段は動かしにくくてもお湯の中では比較的楽に動かすことができます。また、水中で体を動かすと水の抵抗も加わり、運動効果も期待できます。湯治は昔ながらのリハビリ療法というわけですね。
温熱…
熱い温泉に入ると、末梢神経が拡張し、血液の流れが遅くなります。遅くなるということは、体のあちこちが必要とする血液が不足するということ。そのため心臓は一生懸命に働かなくてはなりません。その結果、心拍数が早くなってきます。高温浴(42度以上)では、熱い湯による刺激で交感神経が興奮して血管を収縮させ、血圧が急激に上がります。高血圧症や動脈硬化の方、高齢者では高温浴は避けなければなりません。 こんなマイナス効果を防ぐよい方法は、37〜39度前後のぬるめの湯です。ぬる湯は副交感神経を刺激し、心身のリラックスをもたらすばかりか、血液のめぐりをよくし、筋肉をほぐし、疲れも回復させます。
自然治癒力を高めてくれる温泉、心身のリフレッシュにピッタリ
静水圧、浮力、温熱作用というのは温泉に限ったことではなく、日常の入浴でも同じ作用があります。では、温泉ならではの素晴らしい点は何でしょう。そう、海、山、森…温泉をとりまく自然環境があることです。海の空気や山の渓流、滝の回りなどには、疲れた神経を癒す効果があります。また、森の中はフィトンチッド効果で心が落ち着きますね。
温泉浴の物理的作用に加えて、温泉に含まれる自然の化学物質の作用、そして自然の環境こそが、私たちの体の自然治癒力を高めてくれるのです。
体の自然治癒力を高めることが治療につながるストレス症に温泉は最適なのです。ぬる〜い温泉にとっぷり浸かって、体の芯から温まりましょうよ。ノンキだねって?いいじゃありませんか。ココロもカラダも、温泉でゆっくりリラックスさせてあげましょう。
温泉のストレス解消法
五感が悦ぶ温泉リラクゼーション〜ココロとカラダのやすらぎ温泉〜
最近は国や地方自治体でも、国民健康づくり運動に温泉が見直されています。温泉の力を治療に活かす「温泉療法」だけでなく、温泉を病気の予防や健康づくりに役立てる「温泉療養」も。入浴は軽い運動にもなりますから、健康づくりや体力づくりにはピッタリですね。
視覚…
□温泉場や海・山・森の自然の風景でリラックス
嗅覚…
□副交感神経を刺激してリラックス! 湯気の吸入も効果的
触覚…
□とろとろ、ぬるぬる。やわらかなお湯の感触でリラックス
聴覚…
□お湯の流れる音や谷川のせせらぎ。おしゃべりも楽しみ
味覚…
□いろんな味のお湯を味わう、旅先の食事も楽しみ!
*泉飲は体内吸収が早いので飲み過ぎは禁物。お風呂上がりにはしっかり水分補給を!