健康生活を目指すスローフード運動とは?
私たちが戦後たどってきた生き方に対する反省、そして未来に対する心配からでしょうか、最近、社会の各分野で新しい流れが起こっているのもまた事実です。「スローフード運動」もその一つです。スローフードとは文字どおり「ゆっくり食べる食事」のことです。イタリアのある男性が、アメリカのファストフード店のローマ出店に怒って「スローフード協会」をつくったのがこの運動の発展だといわれています。
この運動は、「食事くらいはゆっくりとろう」と、ファスト(速い)に対抗してスロー(遅い)に価値を求める考え方で、ゆっくり進むカタツムリが協会のシンボルマークとなっています。「スローフード協会」の活動テーマは次の三つです。
1. 小生産者の保護(消えていく恐れのある小さな規模の生産者を保護する)
2. 質の良い食品(それをつくる小生産者を守る)
3. 味の教育(子供たちを含めた消費者に味の教育をする)
日本でも2001年6月に「日本スローフード協会」がNPO法人として認可され、急速な広がりを見せています。同協会では、日本人が昔から大切にしてきた米、日本酒、伝統野菜を見直し、小規模生産者を守り、消費者に「食育」(本来の味の教育)をしていく運動を展開しようとしています。
そしてすでに、老舗旅館・料亭、伝統的職業、お惣菜チェーンなどの世界で関心が寄せられているようです。 一方、環境面でも新しい取組みが進んでいます。ソーラー発電や風力発電といった自然エネルギーの積極的利用やクリーンエンジン搭載自動車、都市の緑化(屋上ガーデニング、街路樹、公園など)、森の自然保護などです。 これら一連の新しい流れは、結局は私たちが健康に生きるための取組みにほかなりません。ファストフードの多用などによる食生活の乱れが、長い間には健康に少なからず悪い影響を及ぼすことになります。自然エネルギーにしても電気自動車にしても、石油や石炭など化石燃料の枯渇が秒読み段階に入っている、ということも大きな問題ですが、それらを燃やすことによる地球の汚染、環境破壊はより深刻です。そのことが、地球を病気にし、生き物を、そして人間を病気にしている側面があることが問題なのです。