不健康になった日本人
戦後日本は、欧米諸国に追いつけ追い越せと、しゃにむに頑張ってきました。そして経済力が欧米を凌駕するなったのに相呼応して、食生活も欧米化しました。肉食中心、脂っこいもののとりすぎとなり、日本古来の穀物、野菜、魚を主体とした健康的な食生活はライフスタイルの洋式化とともに急速に失われてきました。
また、仕事中心の忙しい毎日、それに核家族化により「お袋の味」の伝承が途絶えがちとなり、ますます日本のよき食習慣が消えていきました。それに代わって、朝食抜き、昼食はファーストフードで済ませ、夜はアルコール漬けといった、非常に不真面目な食事をするようになったのです。それと並行するようにして「成人病」今でいう「生活習慣病」が問題となってきました。やはり、でたらめな食生活のツケが回ってきたのです。
それは子供たちにまで及びました。子供の体と心に悪影響を及ぼしただけでなく、子供の味覚が変わり、味音痴の子が増えているという報告があります。亜鉛不足、食への無関心などが原因といわれています。
環境の悪化も、私たちの食、そして健康に深刻な影響を与えています。近代文明は生活を便利で楽なものにしましたが、その一方でさまざまな環境破壊を引き起こしてきました。「地球温暖化」や「酸性雨」、そして「公害」の問題です。
たとえば、1980年代から木が枯れ始めたヨーロッパのシュバルツバルトの森(黒い森)や、日本の奥日光立ち枯れなどは、酸性雨による窒素過剰の状態が原因だろうと見られています。石炭や石油が燃焼して煙が発生し、それが雨に混じって酸性雨として降雨。普通の状態なら土中で分解するのですが、限界を超えると土中に窒素が蓄えられ、さらにあふれ出て水といっしょに流れ出ます。土壌や水の酸性化は動植物に深刻な影響を与えます。
アメリカでは、ワニの卵がメスばかりでオスがいないなど、環境ホルモンの影響で生態が変化を来している事態が報告されています。
現代社会が抱える病理の一方で、平均寿命は年々延び、日本では現在高齢化率20%を目前とし、「高齢社会」になりつつあります。
これら高齢人口の増加と、前に見た食生活、環境の悪化による病気の増加、それによる医療費の増大が、いま先進各国の大きな問題となっています。そこで出てきたのが、予防医学オルタナティブ・メディスンの考え方です。健康補助食品などにより栄養のバランスをとり、適度な運動をプラスして、病気になる前に予防しようというわけです。