制汗剤で乳癌(がん)リスクが増大?
制汗剤(テオドラント)に含まれるアルミニウム塩類が、乳癌(がん)リスクを増大させる可能性が指摘された。医学誌「Journal of Applied Toxicology」4月号に掲載された報告によると、アルミニウム塩類は皮膚を通して体内に入り込み、エストロゲンに似た作用を示すという。
論文の著者である英Reading大学生物科学部のPhilippa Darbre氏によると、ヒト乳癌(がん)の発症と進行にエストロゲンが関与していることがわかっており、エストロゲン様の作用をもつ成分も乳癌リスクに影響する可能性があるという。制汗剤には用量の25%をアルミニウム塩類が占めるものもあり、腋窩(えきか=脇の下)にスプレーして用いるため、アルミニウム塩類への曝露は乳房付近に集中する。また、女性は脇の下をそった直後の傷ついた皮膚に制汗剤を用いることも多く、アルミニウム塩の取り込みが増えることになる。
懸念すべき成分は、制汗剤のアルミニウム塩類以外にもあるという。喫煙によって体内に取り込まれるカドミウム元素は、乳房組織に集積する。カドミウムはエストロゲン受容体に結合し、その作用に影響を及ぼす。カドミウムの蓄積が乳癌リスクを高めるという証拠も示されている。
「ここに挙げた物質はいずれも単独では強い作用をもたないが、複数が同時に作用するとどうなるかを検証する必要がある。乳癌などの疾患に重大な影響をもたらすことも考えられる」とDarbre氏は述べている。