喘息を起こす免疫細胞は別物
米ハーバード大学(ボストン)医学部およびボストン小児病院の小児科教授Dale Umetsu博士らの研究によると、喘息を引き起こす免疫細胞は、これまで考えられていた2型ヘルパーT細胞ではなく、ナチュラルキラー様T細胞(NK-T)と呼ばれる細胞であることが明らかになったという。この研究は、米医学誌「New England Journal of Medicine」3月16日号に掲載された。
NK-T細胞は、新しい細胞識別技術により、ごく最近発見されたものである。T細胞は通常、ウイルスや細菌などの侵入物を体内から除去する免疫防御の働きをもつが、喘息の場合、この細胞が本来の役割を果たさず、肺の炎症を引き起こす。
今回の研究は、喘息患者14例、健康な「対照群」6例、喘息とは無関係の免疫性肺疾患であるサルコイドーシス患者5例から採取した試料を比較したもの。喘息群に認められたT細胞のうち約60%がNK-T細胞であったのに対し、対照群およびサルコイドーシス群にはNK-T細胞は認められなかった。
現在の喘息治療にはNK-T細胞を標的としたものはなく、今後より効果的な治療法が開発されると期待できる。しかし、米ニューヨーク大学メディカルセンターのアレルギー・喘息専門医Jonathan Field博士は、NK-T細胞が本当に疾患の原因となるのか、単に疾患に反応して現れるだけなのかなど、さらに詳しく知る必要があると指摘している。