野菜のパワーとは…
米国国立ガン研究所が認めた野菜の予防効果
免疫力を高める食品として、今見直されているのが野菜です。日本でも野菜の効果・効用は知られていましたが、ガン死亡率が右肩上がりに上昇していたアメリカでは、1990年代からいち早く研究をスタート。その結果、国立ガン研究所が「デザイナーフーズ」と呼ばれる食品群を発表したのです。
「デザイナーフーズ」とは免疫力を高め、ガン予防に効果があると認められた食品群で、効果の高い食品群を頂点に3つのランクに分類。ピラミッドの上部にある植物性食品ほど、高い効果が期待できるといわれています。
野菜のパワーを上手く摂り入れるには…
免疫力アップに役立つ野菜群。では、そのパワーを効率よく体に摂り入れるにはどうすればいいのでしょう。主なポイントは3つ。どうやら体に野菜の養分を吸収させることがもっとも大切なようです。 ● 一種類よりも多種類!
いくら体によくても、同じ野菜ばかり食べていたのでは逆効果。野菜は、さまざまな種類をバランスよく摂るように心がけましょう。
● 生よりも加熱して!
例えば人参の場合、生なら10%の吸収率が炒めれば80%にアップ。これはほとんどの野菜に当てはまります。また加熱調理することでカサが減るため、より多く摂取できるというメリットがあります。
● 野菜と野菜の相性を考えて!
食べる際の組み合わせも重要です。小松菜などカルシウムを含む野菜は、魚介類と一緒に食べると吸収率がアップ。ほうれん草など鉄分を含む野菜も、卵などのたんぱく質やビタミンCを組み合わせると吸収率が高まります。組み合わせにはいろいろなバリエーションがあるので、食べ合わせに関する料理本を参考にするのもいいでしょう。
「たまに」ではなく毎日コツコツと!
どんな健康法でも、やりはじめてすぐに効果が見えてくるわけではありません。実践すること、そして持続することが免疫力アップへの近道です。まずは、この特集でご紹介している食材やレシピを参考に、毎日のメニューを組み立ててみましょう。
ちなみに、厚生労働省が推奨している野菜摂取量は、大人1日あたり350g。そのうち150gほどは根菜類を盛り込んで、できるだけバラエティに富んだ野菜を摂取するのがよいそうです。何度もいいますが、免疫力を高めるには、毎日コツコツと積み重ねることが大切。まずは今夜から、野菜のパワーを食卓に採り入れてみませんか?
免疫力を高める元気野菜10選
●キャベツ
「デザイナーフーズ」の中でも上位に位置する食品。白血球の働きを強化し、免疫力を高め、胃粘膜の修復・保護にも役立ちます。豊富に含まれるビタミンCは、生で摂取するのが一番。
おすすめの一品/乱切りにして塩もみしたキャベツに、カリカリに焼いたベーコンをのせていただきます。味付けはお好みのドレッシングで。
●きのこ類
まいたけ、椎茸、えのき茸、シメジなどのきのこ類に含まれる■グルカンが免疫細胞を活性化。免疫力アップにパワーを発揮します。老廃物を体外に排出する植物繊維も豊富。
おすすめの一品/えのき茸とシメジ、椎茸をだし汁で炊く煮びたしがおすすめ。エリンギ、椎茸、エビを使ってマリネにしても。
●人参
体内でビタミンA に変わる■カロチンが豊富。ビタミンAによって皮膚や粘膜が正常に働き、細菌やウイルスの侵入を防ぎます。栄養分が含まれる皮は、薄くむくのがポイント。
おすすめの一品/拍子木切りにした人参を茹でて、ほぐした明太子、ゴマ油、塩、コショウ、砂糖で味付けを。
●ブロッコリー
リンパ球のパワーを高めるビタミンCが豊富。ウイルスやガン抑制効果のほか、免疫機能を低下させるストレスや疲労を軽減する働きも。
おすすめの一品/ニンニクやゴマ油と組み合わせて炒めた後に、鶏がらスープと塩、コショウで味付けて、紹興酒で香り付けを。
●なす
ガン細胞の働きを抑制するアルカロイドとナスニンは、ともに皮に含まれる成分。ヘタを取って、皮をむかずに丸ごと食べましょう。
おすすめの一品/茹でたなすと枝豆を、梅肉で和えて仕上げたさっぱり味の一品。なすは皮ごとレンジでチンして、1cm幅の輪切りに。
●大豆
乳ガンや大腸ガンなどに効果があるといわれる大豆イソフラボンと、抗酸化成分のサポニン、コレステロールを低下させるペプチドなどを含む健康野菜の代表選手。骨粗しょう症や更年期障害を防ぐなど、女性は特に摂取したい食品です。
おすすめの一品/NK細胞を活性化する成分を含む昆布との相性が抜群。昆布に豚肉をプラスして醤油で甘辛く炊き上げて。
●セロリ
セロリ独特の香りと苦味の成分はテルペン。細胞を傷つける物質を無毒化するのに威力を発揮します。ポリフェノールも含まれていて、ガンや高血圧などの予防にもおすすめの食材です。
おすすめの一品/ニンニク、赤唐辛子、セロリを油で炒め、塩とスープで味付けを。最後に免疫力アップに役立つキクラゲをプラスして。
●タマネギ
ポリフェノールの一種・ケルセチンやジアリルスルフィドなどの物質を含んでいることからガン予防の効果が期待されます。疲労回復や神経の鎮静、血液をサラサラにする効果も。
おすすめの一品/ニンニク、レッドペッパー、イタリアンパセリなどを使ってペペロンチーノ風パスタに。ニンニクとの相乗効果で免疫力がよりアップ。
●ニンニク
ガンに対する予防効果はさまざまな研究で実証済み。抗菌作用のほか、血液やリンパ液の流れをよくする発汗作用もあり、免疫機能維持食品として注目されています。そのままでも、調理しても効果は同じなので、炒め物や煮込み料理、焼き物のほか薬味にも使えます。ただし食べ過ぎには注意。
●ショウガ
血液循環や新陳代謝を活発にするジンゲロンやショウガオールを含む、定番の香味野菜。風邪や冷え性など、免疫力低下が疑われる症状にもパワーを発揮します。抗菌、殺菌、消臭などの働きもあり、肉や魚の臭みを消すのにも活躍します。