誤解を招きやすい処方薬の服用指示
大学教育を受けた人も含めて、多くの人が処方薬の指示内容の解釈に苦労していることが、米国内科学会誌「Annals of Internal Medicine」12月号掲載の研究で明らかになった。研究者は、米国では医薬品の指示書の誤解が原因で、毎年50万件の有害事象が発生していると推定している。
研究者の米ノースウェスタン大学(シカゴ)フェインバーグ医学部内科助教授のMichael S. Wolf氏らによると、「経口で2錠を1日2回服用」の指示で1日の服用量を正しく理解できたのは、低識字能力層では34.7%のみだった。また、全被験者の9%が「経口で1錠を毎日1回服用」という指示の解釈に苦労していたという。
Wolf氏は、より多くの人がとまどったのは、「2錠を毎日2回」という指示。これは「1日2錠」と誤解されることが多かった。また、指示に数字が多いほど誤解の危険性も高くなるという。同氏は「ティースプーン1さじを1日2回7日間」などは特に混乱させると述べている。
研究筆頭著者で米ルイジアナ州立大学健康科学センター内科・小児科教授のTerry C. Davis氏は、米国人は以前にも増して多くの治療薬を服用するようになっており、この問題は重要だと述べている。同氏はまた、問題は診察室から始まっているという。「ほとんどの医師は、患者に対し処方薬の服用方法を説明しない。医師は、いつ、1日何回、何日間服用するかをもっと正確に伝えられるはずである」と述べている。
問題を解決するために、米国内科学財団(AAPF)は、Wolf氏を委員長とする新しい諮問委員会を組織した。同委員会の使命は、服用量と服用時間を守れるような、優れた方法を見出すこと。Wolf氏は「処方薬の情報提供において、現在のシステムは非常に脆弱(ぜいじゃく)で、薬局や医師によって指示内容が異なることもある」と指摘、「諮問機関は監督機関を定めて、用量指示を標準化することを勧告する考えだ」と述べている。