「敬老の日」を前に〜高齢者を労る〜
「人生50年」から「人生80年」へ
「人生50年」という言葉は、戦国の武将、織田信長が好んで 舞ったといわれる能「敦盛」で「人生五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり」という一説が有名で広まりました。 しかし今では、厚生労働省が発表した2004年の女性平均寿命は85.59歳で、20年連続で世界一。昭和22年あたりまでが「人生50年」だったそうです。 平均寿命が延びた理由としては、食生活が豊かになり栄養が十分に摂れるようになったことや、衛生状態の改善、医療の発達等があげられます。
高齢者の悩み
ある調査では、「老人」と呼ぶのは何歳からか?というアンケートで、半数以上が70−74歳と答えています。確かに、今の60代はまだまだ元気ですよね。しかし、老化は必ずやってくるものです。
○ 尿失禁
妊娠・出産、閉経、便秘、膀胱炎等が原因なので、女性に多い症状です。男性の場合も、50代の半数は前立腺肥大であるといわれており、お悩みの方が多いのではないでしょうか。 予防としては、1日に1,000−1,500CCの水分を摂り、3−4時間おきに排泄をする。そして、食物繊維をたくさん摂って便秘にならないように気をつけ、清潔にして膀胱炎にならないようにします。 最近では、骨盤底筋(尿道や肛門を開閉する筋肉の総称 )を鍛えれば、かなり改善されるといわれています。どのようにして鍛えるかというと、オナラが出そうな時に我慢するような感じで、筋肉を締めたり緩めたりします。これを1日に数回、継続をすることで効果が出てくるようです。 欧米に比べ日本は軽い症状の人が多いので、一人で悩んだりせずに、気軽に泌尿器科へ相談してみましょう。
○ 認知症と物忘れ
認知症(痴呆症の新呼称)と物忘れの違いとは何でしょう。年齢を重ねるうちに、「物忘れが増えてきて認知症が始まったのでは?」と心配される人は多いかもしれません。しかし、これは免れることの出来ない老化現象の一つで、脳の神経細胞の減少による、誰にでも起こるものです。そして、「認知症」とは老化による神経細胞の減少より早く、物忘れだけでなくあらゆる判断ができにく自覚がないことが多いです。認知症になれば、本人はもとより、高齢者を抱える家族も大変です。しかし、認知症は悪化しても感情は残っているものです。あまりまわりが感情的に注意すると屈辱的に感じたり、うつになってしまうこともあります。介護する側は、次のような点に注意して接することを心がけましょう。
(介護側の注意点)
1.高齢者を「一人の人間」として意見を尊重する
2.わかりやすい言葉で高齢者と同じ目線でゆっくりと話す
3.誤った行動をしても、頭ごなしに否定をしない
高齢者が作り上げた今の日本
戦後、日本の経済を急激に発展させたのは紛れも無く今「高齢者」と呼ばれる人達です。ということは、私たちが他国と比べても高水準な生活を過ごせているのは「高齢者」のみなさんが、努力してくれたおかげなのです。あなたがもし20代、30代前半であれば、まだ身体の老化をほとんど感じないでしょう。しかし、必ず誰もがいつか老化し、物忘れであったり、何かしら病気になったりします。そんな時、一人ではなかなか普通の生活もできなくなります。
確かに介護は大変ではありますが、今私たちが幸せでいられることはその方たちのおかげ。いつかは自分も介護される側になるかもしれない。そう考えれば、高齢者の存在を尊重し、優しく接することができるのではないでしょうか。