携帯電話が健全な生活環境の障害に
人を自由にするはずだった携帯電話やポケットベルが、実は前例のない形で家庭生活を妨害していることが、新しい研究で判明した。
米ウィスコンシン・ミルウォーキー大学の社会学助教授Noelle Chesley博士によるこの研究は、結婚・家族関係の専門誌「Journal of Marriage and Family」12月号に掲載されたもので、非難の対象は携帯とポケベルにとどめられ、電子メールのようなコンピューターによる通信手段は非難していない。
Chesley博士らは、共稼ぎのカップルに1998〜1999年と2000〜2001年、2回のインタビューを行った。その結果、1回目と2回目の間で、携帯とポケベルの利用により家庭の満足度が減少し、苦痛が増え、仕事の家庭への侵害や、家庭の仕事への侵害も増えていることがわかった。
携帯とポケベルは男女共で家庭生活を侵害していたが、女性は「二重ののろいを受けているかのようなもの」で、逆の影響、すなわち週7日四六時中連絡可能になるため、家庭の問題や心配事が仕事場に持ち込まれるという影響もあった。
「アクセスしやすくなったことによる影響は、プラス面でよりマイナス面で大きい」とChesley博士は述べ、ストレス減少には携帯をうまく管理することが必要で、雇用者と従業員は電話をかけてもよい時間帯を決めるべきであると助言している。
米イリノイ大学ベックマン科学技術振興研究所のTate Kubose博士は、アクセスしやすさが増したため、仕事と家庭の境界が曖昧になっていると指摘。この研究は、携帯は日常生活を変えるものだが必ずしもよいものとはいえない、という考えを支持すると述べている。