炎症性腸疾患に期待の新療法
約100万人の米国人が炎症性腸疾患(IBD)に苦しんでいるが、シカゴで開催された米国消化器週間(DDW2005)で発表された研究によると、新しい治療オプションが登場しつつある。Alequel、Humiram、レミケードの3薬剤による治療法で、これらがIBD症状の症状を軽減し、臨床的寛解と臨床反応を向上させることが臨床試験で明らかになった。(編集部注=日本国内未承認薬は英文表記)
IBDはクローン病,潰瘍性大腸炎など腸に炎症を起こす慢性疾患を包括する病名である。今回の知見は、現状の治療法では改善がみられない患者にとって朗報となり、またIBDに苦しむ人々の生活改善に必要なステップとなるとみられる。
Alequelは,患者自身の腸組織からの蛋白質含有抽出物。開発企業Enzo Biochem社の資金提供で行われた研究では、Alequelを投与されたクローン病患者群では寛解率58%、プラセボ(偽薬)投与群では29%を示した。陽性臨床反応(症状の減少)が見られたのはAlequel投与群67%、プラセボ群29%で、生活の質(QOL)に全体的向上が見られたのは、それぞれ43%、12%であった。
Humiraの研究は、製造元Abbott Laboratories社の資金提供で行われた。クローン病患者に関節リウマチ治療薬Humira(一般名:adalimumab)を6カ月間投与した結果、患者群での寛解率は治療開始時では5.5%であったのに対し、6カ月後では33.2%となっていた。また、臨床反応は治療開始時の40.5%から、6カ月後には78%以上に上昇した。
別の研究では、クローン病および関節リウマチの治療薬レミケード(一般名:インフリキシマブ)が、潰瘍性大腸炎の患者において疾患の徴候と症状を軽減することが判明した。研究は製造元Centocor社の資金提供で行われた。