植物性油の再加熱によって毒物が発生
植物性の食用油を加熱しすぎたり再加熱したりすると、脂肪酸由来の毒物である4-ヒドロキシ-トランス-2-ノネナール(HNE)が大量に蓄積されることが、新たな研究から明らかにされた。この知見は、先ごろ米ソルトレークシティで開かれた米国油化学会(AOCS)年次会議で、ミネソタ大学食品化学および栄養生化学教授のA. Saari Csallany氏らが発表したもの。
HNEはキャノーラ油、コーン油、大豆油およびヒマワリ油など、リノール酸を有する多価不飽和油で特に大量に発生し、動物性油に由来する飽和油には発生しない。Csallany氏によれば、これまで多数の試験が、HNEの摂取によって心血管疾患、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、肝疾患および癌(がん)のリスクが増大することを明らかにしている。
今回の報告を踏まえて、米国栄養協会(ADA)代表のJeannie Moloo氏は、煙が出る温度まで油を熱しないこと、油の使用は1回のみとすることを推奨している。また、植物性油を用いれば家庭での調理をそれほど心配する必要はないとし、「油を繰り返し用いるレストランでの揚げ物の方が懸念される」と指摘する。米国レストラン協会(NRA)規制局幹部のDonna Garren氏によれば、現在のところ外食産業全体で用いられている調理油の選択および管理に関する規則はないという。
米国レストラン協会は、こうした問題に関するガイダンスを発行する権限を有する米国食品医薬品局(FDA)からの指示を待つ意向である。Garren氏は、現時点では決定について企業の裁量に任されているが、この問題を注意深く監視してゆき、完全なリスク評価に向けてFDAに協力する意向を示している。