病気の知識 勃起障害
どんな病気
勃起障害とは、性交時に十分な勃起が得られず、または、十分な勃起を維持できないために満足な性行為がおこなえない状態です。
従来はインポテンスと言われることが多かったのですが、性的不能と訳されるこの言葉は、人間に本来備わっているはずの能力を失なっている人、という偏見を生じさることも多く、勃起障害をもつ患者に対して思いやりに欠ける言葉といえました。そこで最近は、勃起障害をあらわす英語(Erectile Dysfunction)の頭文字をとって、EDと言うようになりました。
日本でも現在、40代〜70代までの男性の半数以上が何らかの原因でEDに悩んでいると思われます。したがって、EDは、男性なら誰でもかかり得るごくふつうの病気です。が、治療可能な病気だと考えてください。
EDの原因は様々です。ほとんどはストレスなど心因的なものですが、その他にも、血管や神経系などの障害も原因になります。たとえば、糖尿病、高血圧症、心臓病、高脂血症などが原因で、ペニスの血流量が減少しEDとなることもあります。また、うつ病、薬物治療、手術やけが、喫煙、飲酒などの生活習慣によりEDを引き起こすこともあるのです。このため、中高年になるとEDは増えてきますが、これは、高齢になるほどEDを引き起こす病気にかかったり、様々な治療薬を服用する機会が増えるためだと考えられます。加齢(老化)はEDの危険因子のひとつにはなりますが、加齢=EDという直接的な関係はありません。
ただ、最近は、体にとくに異常がないのに、十分な勃起が得られないというケースが、20代など比較的若年層に多くなっています。これは、過去に性交に失敗したことがあったり、パートナーに対する精神的、肉体的不満、あるいは、間違った性教育などによる性行為への嫌悪感、性的劣等感、過度の緊張などが原因になっていると考えられます。
どんな症状
EDは性欲があるのに、ペニスが十分に勃起せず満足な性行為ができない状態です。また、症状も人により、全く勃起しない、勃起しても女性の膣内に挿入できない、挿入しても途中で萎えてしまう、などと異なります。したがって、ED=性欲がないということではありません。だからこそ、患者は苦しみ悩むことになるのです。