グルコサミンなどの膝関節炎への過大な効果期待できず
膝関節痛に悩む多くの人が使用している栄養補助食品(サプリメント)のグルコサミンやコンドロイチンは、膝関節炎にはあまり効果のないことが、米医学誌「New England Journal of Medicine」2月23日号掲載の報告で明らかになった。ただし報告では、重症例においてこれらサプリメントは痛みを和らげる効果が期待できる可能性があるとしている。
米ユタ大学医学部リウマチ科の研究者らは、膝関節痛を訴える変形性関節症患者1,583人(平均年齢59歳)を対象に、被験者をグルコサミン1,500mg/日、コンドロイチン1,200mg/日、グルコサミンとコンドロイチンの併用、鎮痛薬(Cox-2阻害薬)Celebrex 200mg/日、プラセボ(儀薬)の5つの投与群に割り付け、24週間にわたり投与。その結果、最低20%の痛みの軽減という目標に対し、両サプリメントともプラセボ以上に有意な効果は認められなかった。(編集部注=日本国内未承認薬は英文表記)
しかし、研究責任者で同大リウマチ科主任のDaniel O. Clegg博士は「中等症から重症の多くの症例では、両サプリメントの併用によりプラセボ以上の効果が認められており(79.2%:54.3%)、このグループではさらに検討する必要がある」と述べている。
同博士はサプリメント摂取を検討するにあたり、特に変形性関節症患者は慎重に対処すべきだとアドバイスする。減量、運動、市販の鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬を試みても、まだ強い痛みがあれば、サプリメントの使用を検討。必要と判断されれば、グルコサミンの効果が最も期待できるコンドロイチンとの併用を勧める」と述べている。
論説著者で米メリーランド大学医学部リウマチ・臨床免疫学部門責任者のMarc C. Hochberg博士は、今回の研究の不備な点として、他の研究で変形性関節症に有効性が示されている硫酸グルコサミンではなく塩酸グルコサミンが使用されていることを挙げている。
またHochberg博士は、両サプリメントの併用に関して、「併用療法を支持する十分なデータはない。市販サプリメントの大半は両方の成分が含まれており、リスクに関するデータや、一方が他方の効能に影響を与えるかどうかのデータもない。鎮痛目的でのこのようなサプリメントの摂取は、消費者だけでなく医療提供者にとっても難しい問題である」と述べている。