チョコレートは男性の心臓によい
チョコレート好きにはうれしいニュースである。ココアの摂取によって高齢男性の血圧が降下し、死亡リスクも低下するという研究が、米医学誌「Archives of Internal Medicine」2月27日号に掲載された。ココアが心臓によいとは1700年代からいわれていたが、科学的に裏付けられるようになったのはごく最近のことだという。
この研究は、オランダ国立公衆衛生環境研究所(Bilthoven)のBrian Buijsse氏らが、65〜84歳の男性470人を対象としてココアと心血管疾患の関連を調べたもの。対象者は1985年に身体検査と食生活についての問診を受け、その後1990年と1995年に同じ調査を受けた。この結果、日常的にココア(チョコレートを含む)を摂っている男性は、そうでない人に比べ血圧が有意に低いことがわかった。
また、ココアの摂取量が特に高い男性は、心血管疾患による死亡率がココア摂取ゼロまたはほとんどない男性の半分だった。さらに、どの死因においても、ココアを多く摂る男性は死亡率が低かった。体重、喫煙、運動、摂取カロリー、飲酒など他の因子を考慮しても、この死亡リスクの低さは変わらなかった。
ココアには、血圧を下げ血管内面の細胞機能を改善させるフラバン-3-オール類が含まれている。Buijsse博士らは、死亡リスク低下は血圧降下によるものだけでなく、フラバン-3-オール類の他の利点によるところも大きいと考える。また、ココアには抗酸化物質が豊富に含まれ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)やある種の癌(がん)のような酸化ストレスによる疾患予防に関連すると考えられるという。
米エール大学(コネチカット州)医学部予防研究センターのDavid L. Katz博士は、ココアは簡単に効率よく抗酸化物質であるビオフラビノイドを摂取できる食品で、ココア含有量60%以上のココアやダークチョコレートを摂取する人には利点があるという。ただし、ココアを含む食品はカロリーが高いという欠点もあり、摂りすぎれば抗酸化物質の効果も打ち消されてしまう。また、心臓によいのは甘みの少ないダークチョコレートのみで、有害な飽和脂肪を含むミルクチョコレートや、ココア含有量の少ないチョコバーなどはあてはまらないという。