慢性疼痛の新しい原因が明らかに
損傷を受けていない神経線維が継続する自発的な痛みを引き起こすことが、英国の研究で明らかにされた。慢性疼痛に関する研究はこれまで、傷害や疾患によって損傷された神経線維に焦点をあてたものが主であり、今回の研究結果をきっかけに、腰痛などの治療法が変わる可能性が考えられる。医学誌「Neuroscience」1月25日号に掲載された。
英ブリストル大学医学部生理学のSally Lawson氏らは、損傷を検知する侵害受容器(nociceptors)と呼ばれる神経細胞を特定し、同受容器が疾患や傷害によって活性化されると、脳に送られる電気インパルス(活動電位)を放出することを明らかにした。この損傷されていない受容器から放出されるインパルスの速度が速いほど、継続的な疼痛の強度が強かった。
このような侵害受容器の発火は、神経や組織内での炎症、同じ神経内部での障害された神経線維の死滅あるいは変性が原因になると考えられている。
Lawson氏は「これまで継続する痛みの原因、自発的に生じる理由が不明だったが、今回の研究で、損傷されていない神経線維が疼痛を引き起こしていることが明らかになった。今後はこうした神経線維が継続的に脳にインパルスを送る原因を解明することにより、継続的な痛みをコントロールするために効果的な鎮痛薬の探索に役立つ」と述べている。