食物アレルギー者に死を招くキス
ピーナツアレルギーの人にとって、ピーナツ製品を食べた人とのキスは、たとえ相手が歯を磨いていたとしても、命取りになりかねない。先ごろマイアミビーチで開かれた米国アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI)では、食事後や歯を磨いた後、どのくらい唾液中にピーナッツアレルゲンが残存しているかを検討した研究が報告された。
米マウント・サイナイ医科大学(ニューヨーク州)の研究では、10人の被験者が大さじ2杯分のピーナツバターが含まれたサンドイッチを摂取し、食後あるいは歯磨き後の唾液が採取された。食後1時間では、7人中6人の唾液でアレルゲンは検出されなかったが、食事直後では、たとえ歯磨きや口内洗浄をしていてもアレルゲンが残存していた。研究者は、アレルゲンを含む食べ物を食べた人とキスする場合には、数時間経ってから行ったほうがよいとしている。
また、食物アナフラキシー(即時型過敏反応)による死亡リスクの高いティーンエイジャーでその原因を検討した同施設の別の研究では、食物アレルギーをもつ10代の若者は状況によってリスクを冒す傾向にあることが明らかになった。アンケート調査の対象となった13〜21歳の174人のうち、75%にピーナツアレルギーか2種類以上のアレルギーがあり、82%がアナフィラキシーの経験者で、52%がアナフィラキシーを3回以上発症していた。
74%がアレルギー反応の標準解毒薬であるエピネフリンを常備しており、旅行時には94%が携行していたが、スポーツを行う際に携行している者は43%と低かった。研究著者のScott Sicherer博士は、水分補給で水を分け合うことによりアレルギー反応が生じることが認識されていないと述べる。また、75%が食品ラベルを必ず読むが、42%がアレルゲンを「含む可能性がある」と表示されていても食べていることを認めた。
別の追加調査では、重度の食物アレルギーをもつ成人で、エピネフリン自己注射器(EAI)が処方されていながら、医療従事者の十分なフォローアップを受けておらず、また多くが器具の使用法の適切な教育を受けていないことが明らかになった。