高蛋白(たんぱく)食は癌(がん)リスクを高める
低蛋白(たんぱく)食はある種の癌(がん)から身体を守り、高蛋白食は癌リスクを上昇させることが、米医学誌「American Journal of Clinical Nutrition」12月号掲載の研究で明らかになった。
研究は、@低蛋白・低カロリーの未加工食品や野菜を摂取する痩せ型の群、A週平均48マイル(約77km)のランニングをする人で、食事は@よりカロリーや蛋白質の多い、標準的な西洋食を摂取する群、B糖分、加工精製した穀物、動物性食品が多い標準的な西洋食を摂取する運動量の少ない群-の3つのグループを対象に行われ、各群それぞれ21人が割り当てられた。
1群は、体重1kgに対して1日平均0.73gの蛋白質を、2群は1.6g、3群は1.23g摂取した。研究著者で米ワシントン大学(ミズーリ州)医学助教授のLuigi Fontana博士は、蛋白質の1日推奨摂取量は0.8gとしている。研究の結果、1群の人では、2群と3群に比較してインスリン様成長因子1(IGF-1)値が有意に低いことが明らかになった。IGF-1高値は、閉経前乳癌、前立腺癌、大腸癌に関与していることが知られている。
Fontana博士は「IGF-1高値では、変異細胞が癌化する可能性がより高い。低カロリー、低蛋白食の人では、西洋食を摂取する痩せ型のアスリートよりIGF-1値が低いことが示されたが、このことは体重とは無関係に、低蛋白食がIGF-1値を低下させることを示唆している」と述べている。
米ハーバード大学(ボストン)公衆衛生学部疫学教授のDimitrios Trichopoulos博士も、高蛋白食は特定の癌リスクを上昇させると指摘。同博士らは、医学誌「European Journal of Clinical Nutrition」11月29日号オンライン版掲載の研究で、健康な成人2万2,944人のデータを集約し、低炭水化物・高蛋白食を摂取する人では死亡率が増加することを明らかにしている
しかし、こうした研究結果にもかかわらず、Tricholopolos氏は、癌リスクを軽減し、長生きするために低蛋白食を勧めるには時期尚早とし、その理由として、「最近の研究で相反する結果が報告されており、現時点では相互関係が解明されるのを待つべきであろう」と述べている。