鉄観音という呼び名には、さまざまな由来がありますが、「安渓松林頭に住む魏飲という信仰深い人が、毎朝、奉山寺の観音様にお茶を供えていたところ、ある日、寺の裏山に光り輝く茶樹を発見し、それを栽培してお茶を造り飲んでみると、非常に香りの高いすぐれたお茶であったため、観音様のお恵みのお茶であるとしてこの名がつけられた」とか、「鉄観音の茶葉は厚みがあってどっしりと重く、色も黒みがかった緑色で黒光りしているような様を鉄に喩えた」とかいろいろな言い伝えがあります。
また、脂肪などの油分を分解する作用があるため、中華料理の時、海老や蟹といった海鮮料理を食べるときには、フィンガーボールにに鉄観音を入れ、手を洗います。不思議と臭いも消え、鉄観音の脂分解の力で指はさっぱり、一石二鳥です。
高級中国茶「鉄観音」の名前は茶樹の品種名。安渓は福建省南部(ミンの国の南部)を代表するお茶産地です。そして、「観音王」は、最高級の安渓鉄観音に冠せられる呼び名です。
本物の鉄観音の 持つ独特の味わいは「音韻」(おんいん)
といわれ、岩茶の岩韻(がんいん)、鳳凰単叢の山韻(さんいん)と
並び称されます。
この「音韻」の魅力は、法悦のごとく、一度味わうと忘れがたく、世俗の諸事を
超え、求めるに値するもの、となっても不思議はないほどです。
そのために、たとえ「家を傾け、財産を使い果しても悔いはない」、
というところにまで中国の茶道精神はいきつくようです。
茶器が冷たいと、お湯を注いだ瞬間に温度が下がってしまい、結果として茶葉が充分に開かず、本来の味が出ません。茶器は必ずお湯で温めておきましょう。そのひと手間で、お茶はぐんとおいしくなります。
茶葉を開きやすくするために、初回の茶湯はすぐに捨てます。これを、茶葉をお湯ですすぐという意味で「洗茶(せんちゃ)」といいます。洗茶は必須ではありませんが、洗茶することで、茶葉の本来の味を最大限に引き出すことができます。